倒産法ゼミ
第2回
破産債権とは、破産手続によって破産財団から配当を受けることができる債権である。
破産債権は、破産者に対する人的請求権であって、破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であり、強制執行することができるものでなければならない。
破産債権の等質化とは、破産債権について弁済期の到来した定額の金銭債権とする調整のことをいう。
破産債権の現在化とは、期限未到来の債権が、破産手続開始の時に弁済期が到来したものとみなされることをいう(103条3 項)。
破産債権の金銭化とは、非金銭債権等が、破産手続開始の時の評価額をもって破産債権の額とされることをいう(103条2項)。
破産債権は、個別的権利行使が禁止され、破産法に特別の定めがない限り、破産手続によらなければ行使することができない。破産手続による行使は、破産債権を裁判所に届け出て、債権の調査・確定を経たうえで、破産管財人から配当を受けるということである。
破産債権は、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が異議を述べなかったときに確定し、破産者が異議を出したとしても、破産債権の確定にとっては意味がないとされている。確定した事項についての破産債権者表の記載は破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。なお、法文上は明記されていないが、破産管財人にも効力が及ぶと解されている。
支払不能とは、債務者が、支払能力を欠くために、一般的かつ継続的に、弁済期が到来した債務の弁済をすることができない客観的な状態のことをいう。この場合、支払能力を欠くとは、仮に、財産(資産)がなかったとしても、信用があれば融資を受けることができるし、また、労働による収入も支払にあてることができる場合もあるので、財産の有無のみでなく、信用や労力(技能)などを総合して判断されるものである。
債務超過とは、債務者の財産をもって債務を完済することができないことをいう。すなわち、帳簿の上で債務の評価額の総計が財産(積極財産)の評価額の総計を超過している客観的な状態である。債務は履行期の到来していないものも含まれ、財産のみが基準とされる。
支払停止とは、支払能力を欠くために、弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済することができない旨を外部に表示する債務者の行為のことをいうが、破産手続開始の原因とはされていない。支払停止は、夜逃げなど黙示的になされる場合も含まれる。
破産債権とは、強制執行することが可能な請求権であることが必要なので、利息制限法違反の超過利息債権は破産債権とはならない。
破産手続開始の原因は、支払不能である。破産者が法人である場合には、支払不能又は債務超過が破産原因となる。株式会社等のいわゆる物的会社においては、法人に帰属する財産のみが債権者の債権の引き当てとされているからである。他方、その法人が、存立中の合名会社又は合資会社の場合は、債務超過は破産原因に含まれない。無限責任社員がいることが考慮されているからである。