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M&A

弁護士 永 島 賢 也
初稿2005/05/16

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M&A

M&Aは、Merger and Acquisition の略です。

Merger は「合併」を意味し、Acquisition は「獲得」、すなわち、「買収」を意味します。直訳すれば、「合併と買収」という意味になります。

ちなみに、Amalgamation も会社と会社とが合併することを意味し、Consolidation も会社などの合併を意味します。

敵対的M&A

中立的な定義としては、経営陣の同意のないM&Aという意味です。経済産業省内の企業価値研究会での定義です。反対語は、友好的M&Aです。

TOB

Take-Over Bid の略です。株式の公開買付けを意味します。

公開買付けについて、我が国では、証券取引法27条の2以下に定めがあります。それによると、不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行い、取引所有価証券市場「外」で株券等の買付け等を行うことです(同条6項)。

公開買付制度は、支配権の変動を伴うような株式の大量取得について、株主が十分に投資判断をなし得る情報開示を担保し、会社の支配価値の平等分配に与する機会を与えることを制度的に保障するものです(東京高裁H17.3.23)

 *取引所有価証券市場=証券取引所の開設する有価証券市場(同法2条17項)

 *ToSTNeT-1=東京証券取引所が立会外取引を執行するためのシステムとして多数の投資家に対し有価証券の売買等をするための場として設けているもの

 *ToSTNeT取引によって、30%弱の株式を取得した行為は、取引有価証券市場「内」の取引であり、同市場「外」での買付け等を規制する同法27条の2に違反しないとされています(東京高裁H17.3.23)。

私見

もっとも、私見(永島)では、ライブドア社が、フジテレビ社によるニッポン放送社の株式の公開買付期間中、わずか30分未満の間にToSTNeT取引によって発行済株式総数の30%弱の同社の株式を買付け、その結果、約35%の同社の株式を保有するに至ったことは、公開買付制度が保護する会社の支配価値の平等分配に与する機会を投資家から奪っていると考えます。

そうだとすると、これは、証券取引法27条の2の条文の文言には違反しないものの、同法27条の2の保護している法益は侵害しているということになります。このような場合、同法27条の2の「取引有価証券市場外で」という文言を、同条の立法趣旨に合致するように解釈することも考えられます。

買収者は、通常、(例えば、大量保有報告書の提出を義務づけられない範囲まで)目立たないように株式を買い集め、他方、防衛側は、株価やその出来高をモニタリングし、買収の予兆を捉えようとしていることを背景にすれば、予測可能性を害する解釈とまではいえないと思われます。

同法が保護する法益を、同法の文言では保護できないという状態を放置することは妥当とはいえないと思われます(もっとも、どのようなケースで、いわゆるコントロール・プレミアムの平等分配を保護すべきかについては、別個の問題があります。)。

そうすると、このように会社の支配価値の平等分配に与する機会を奪った行為に対して、その対抗策として新株予約権の発行を行うことが、「著しく不公正なる方法(商法280条の10)」に該当するかどうか、すなわち、この「著しく不公正なる方法」という文言の解釈が、買収者の属性やその選択した行為等によって変化するものかどうかが問題になります。

もともと、判例は、会社の経営支配権に現に争いが生じている場面か、そうでないかで、既存株主の持株比率の低下リスクについて保護の態様を変化させていますし、東京高裁(H17.3.23)もグリーンメイラーその他「当該会社を食い物にしようとしている場合」は、新株予約権の発行差止は認められないと述べており、買収者には他に採ることが可能な手段もあったこと(対抗TOB、むしろ、これが本来的手法といえます。)、売主との事前合意が推認される事情があるとされている点などに鑑みると、反対の結論(著しく不公正な発行でない)に至っていたとしても不思議ではなかったと思われます。

*(追加/2006.01.17)

なお、その後、日経新聞(平成18年1月17日朝刊)の編集委員前田昌孝氏は、ライブドア社が、「ニッポン放送株を買い集める際に株式の公開買い付け(TOB)規制の趣旨に反して立会外市場を使ったり・・・」と述べ、TOB規制の趣旨に反した行為である旨コメントしています。このように、市場関係者の視線でみても、上述したような予測可能性を奪うものではなかったのではないかと思われます。

もっとも、仮処分手続でなく、本案の訴訟手続であったら、あるいは反対の結論も現実味があったのでは、と考えられます。どの手続を選択するかは、弁護士が、いつも頭を悩ませるテーマです。

2段階買収

概していえば、第1段階で、部分的なTOBを行い、支配権を獲得した後、第2段階の買収等で、残存株主を排除する買収手法といわれています。第2段階に進んで上場廃止になってしまうと、株式の売却が困難になることが予想されるので、やむを得ず、第1段階のTOBに(その金額が低いと思っていても)応じざるを得なくなるというもので(囚人のジレンマに類します。)、株主価値を害するおそれがあるとされています。Two-step tender offerとも呼ばれます。

PBR

Price Book-value Ratio の略語です。株価純資産倍率といわれます。

株価を一株あたりの純資産額で割って求められます。PBRが1倍ということは、株価と一株あたりの純資産額が等しいということになります。例えば、PBRが1倍より低い場合、保有資産に鑑みて株価が割安と判断することができます。  参考 http://ir.nikkei.co.jp/

グリーンメイラー

プレミアを付けて、買い集めた株式の買戻しを要求する者のことを指します。良い意味ではありません。

東京高裁は、これを、真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買収を行っている場合と表現しています。

ストラテジックバイヤーと、フィナンシャルバイヤー

いずれも企業買収者のことですが、概していえば、ストラテジックバイヤーは、自社の事業戦略(競争力強化、経営合理化、シナジー効果、市場拡大など)に基づいて買収を行う者で、フィナンシャルバイヤーは、相対多数の株式を取得することによって、当該株式等から高い収益を得ようとする者のことです。ファンド形態によって活動しているケースが多いとされています。買収者が、グリーンメイラーなのか、フィナンシャルバイヤーなのか、ストラテジックバイヤーなのかによって、これに応じた買収の防衛策も異なってくるとされています。

LBO

Leveraged Buy Out の略です。

レバレッジド・バイ・アウトと呼ばれ、買収対象の企業の資産等を担保にして借り入れた資金で買収を行うことです。自己資金が少なくても企業買収を可能にします。

M&A防衛策

買収防衛策のことで、ランダムに関係用語と掲げるとすれば、シャークリペラント(サメよけ)、ポイズンピル(毒薬)、パックマン・ディフェンス、ゴールデンパラシュート、ホワイトナイト(白馬の騎士)、クラウン・ジュエル、焦土作戦、ライツプランなどがあります。  防衛策は、対象会社の経営陣の意向を無視することも可能な買収者に対し、交渉のインセンティブを与える目的があるとされています。

Proxy Fight

委任状闘争、委任状合戦と言われるものです。

プロキシー・ファイトと呼ばれます。

株主総会において議決権獲得を会社の経営陣と争うことで、ポイズン・ピルなどの買収防止策が施してある場合などで、株式自体を取得することが得策でない場合などに、買収の補完的手段として利用されることがあります。

MBO

Management Buy-Out の略です。

経営者が、その会社やその子会社などを買収することを意味します。その会社のマネージメントをしてきた経営者が買収の主体となります。破綻企業の再生に利用されることもあります。

大量保有報告書

一定の要件のもと、株券等の5%を超えて取得した者は、5日以内に内閣総理大臣に大量保有報告書を提出する義務を負い(証取法27条の23)、更に、その後、1%以上の変動があった場合には、変更報告書を提出する義務を負います(同法27条の25)。いわゆる敵対的買収者は、この5%を超えるまで、なるべく買収の対象となっている会社に悟られないように株式を取得する傾向があるとされています。

EDINET

Electronic Disclosure for Investor's NETworkの略です。

証券取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムです。開示書類につき、インターネット上で閲覧を可能にするものです。

 

 

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