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RSSと著作権判例

弁護士 永 島 賢 也
2008/05/07 初稿2005/1/11

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RDFとは

 RDFとは、Resource Description Framework の頭文字をとった略語です。直訳すれば、「資料を叙述する枠組み」です。

 不正確にはなりますが、思い切りよく大雑把に言えば、RDFは、「書いてある内容の要素の取り出し方のルールのこと」といえるかもしれません。

 例えば、書いてある内容の「タイトル」とか、「作成者」とか、「作成日時」などの情報(メタ情報と呼ばれることがあります。)を書くルールということもできます。

RDFは、メタ情報を、リソース、プロパティ、値の3組で表現しようとします。

 

意味に充たされた情報空間の検索

 ネット上の膨大な情報の中から必要な情報を抽出する際、単純なキーワード検索よりも、メタ情報を頼りにした方が有益な結果を得られると考えることができます。

 RDFは、機械が処理可能な情報空間を、より人間的な、「意味」で満たされた空間に近づけようとする努力のひとつといえるかもしれません。もともと、Tim Berners-Lee氏が、WWWで目指していたものともいえるでしょう。

 

RSSとは

 では、他方、RSSとは、何の略語なのでしょうか。実は、複数あります。

 ひとつは、RDF Site Summaryです。つまり、このRSSの「R」は、RDFのRです。

 そのほか、Rich Site Summary 、また、Really Simple Syndicationがあります。以下のとおりです。

 RSS 0.91(0.92) = Rich Site Summary

 RSS 1.0 = RDF Site Summary

 RSS 2.0 = Really Simple Syndication

 このように並べると、RSSのヴァージョンアップの過程のようにも見えますが、RSSの歴史的経緯により、それぞれに互換性はありません。

 要するに、RSS1.0は、RDFに基づいているのです。

 

このサイトのRSS

 当事務所のRSSフィードは、RDFに基づいています。
 indexのファイルのソースに<link rel="alternate" type="application/rss+xml" href="/rss20080507.rdf">との記載があります。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<rdf:RDF xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xml:lang="ja" xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" xmlns="http://purl.org/rss/1.0/">
<channel rdf:about="">
<title>アカデミア法律事務所</title>
<link>http://tsukuba-academia.com/</link>
<description>(省略)</description>
<dc:date>2008-05-07T15:32+09:00</dc:date>
</item>
</rdf:RDF>

 ちなみに、一番上の行がXML宣言と呼ばれるものです。つまり、RSSフィードはXML文書なのです。また、上記のとおりRSSフィードはテキストですので、人間が読むことができます(ちょっと読みにくいですが・・・)。いわば、RSSは、非常に画期的なXMLの応用例と言ってもいいと思います。

 

著作権に関する参考判決例

 上記のとおり、title や description などのタグ内に記載された内容については、場合によって、今後、著作権などの問題が生起する可能性があります。

 参考判決例としては、東京地裁平成16年3月24日判決(ライントピックス事件)があります。ヨミウリオンライン(YOL)の見出しについて創作性を認めず、著作物性を否定しています。( >判決PDF )

 また、著作権法10条2項の適用も認められています。

 同判決の一部を引用します。「1 YOL見出しは,その性質上,簡潔な表現により,報道の対象となるニュース記事の内容を読者に伝えるために表記されるものであり,表現の選択の幅は広いとはいえないこと,2 YOL見出しは25字という字数の制限の中で作成され,多くは20字未満の字数で構成されており,この点からも選択の幅は広いとはいえないこと,3YOL見出しは,YOL記事中の言葉をそのまま用いたり,これを短縮した表現やごく短い修飾語を付加したものにすぎないことが認められ,これらの事実に照らすならば,YOL見出しは,YOL記事で記載された事実を抜きだして記述したものと解すべきであり,著作権法10条2項所定の「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法10条2項)に該当するものと認められる。」

 そのうえで、「具体的なYOL見出しはいずれも創作的表現とは認められないこと,また,本件全証拠によるもYOL見出しが,YOL記事で記載された事実と離れて格別の工夫が凝らされた表現が用いられていると認めることはできないから,YOL見出しは著作物であるとはいえない。」と結論づけられています。

 つまり、上記の東京地裁の判決をみる限り、見出し部分のみについて著作権を主張するのは難しいと判断されていることになります。

 

知財高裁の判決

 上記の東京地裁の控訴審である、いわゆる知財高裁は、平成17年10月6日、本件のYOLの見出しにつき、著作物として保護されるための創作性を否定し、著作権法によって保護されるものでないとしたものの、不法行為を認め、23万7741円の損害賠償を認容しました。
 つまり、著作権法違反ではなく、一般的な不法行為を認めたものです。( >判決PDF )

 

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